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マイスター「匠」が創る高画質・高音質ブランド「FORS」(フォルス)

Chapter-5  FORS EX PICTURE

FORS EX PICTUREについて教えてください。

岡田:映像の場合は素材を忠実に伝送すれば必ずきれいになるということではなく、いかに制作者が求めている画質に近づけながら、作業をしていくかがとても重要なことです。キュー・テックでは、現在、SDからHDへのアップコンバートの作業が多いのですが、ノイズを消したり、サイズを変えないで画質を改善していく場合もあります。そういった映像に関する改善・変換技術の総称をFORS EX PICTUREと呼びます。高画質のアップコンバートシステム自体は、約3年前からF.O.C.U.S(フォーカス)と呼んでいましたが、今回の新FORSブランド戦略のタイミングで、音のFORSで使用している電源・ケーブルやデジタルデータを格納するFORSマスタードライブなども加わり、新しくFORS EX PICTUREと呼ぶようにしました。

実際にどのような機材を使用しているのですか。

岡田:FORS EX PICTUREでは、作品をお預かりしてからまず映像の検証を行います。その結果、どのような作業方法が最適なのかをマイスターが判断します。その方法は多彩です。数種類のコンバーターの組み合わせだったり、マイスターの手作業を加えたりして映像の最適化を行うのです。このシステムの最大のポイントは、長年アニメエディターとして最前線で編集をしてきたマイスターたちのノウハウを駆使して処理していくことです。マイスターの手腕により、従来の改善・変換技術から大幅にクオリティを上げることが可能になりました。その映像に一番相応しいコンバージョン機能を「人」が選びつつ、必要とする機能が足りない場合には、新開発をも行いながら処理していく、それらをすべて含めた総称をFORS EX PICTUREとしています。

FORS EX PICTUREの強みを教えてください。

岡田:プログレッシブにしやすい作品は一般的にアップコンがしやすいとされていますが、キュー・テックでは、インターレース素材や古いコンポジットの素材でも高画質にHD化することが可能です。変換する素材を選ばないというのがわれわれの強みです。また機材任せではなく、細かい所にまでいちいち気を配り手間を惜しまず処理をするエンジニアたちの熱意とノウハウこそが最大の強みだと思っています。始めたばかりの頃は試行錯誤の繰り返しでしたが、機材の拡充と新たな技術の蓄積により、以前よりかなり早いスピードで作業を行うことができます。FORS EX PICTUREの価値は、映像に一番ふさわしい技術や機材を選定して使用することです。その選定を行うのが、経験豊富なエンジニアたち、即ちマイスターのノウハウが価値を持つのです。

VTRアップコンバートとの違いを教えてください。

岡田:クォリティを問わなければ、VTR単体だけでも簡単にアップコンバートすることは可能ですが、できあがった映像を見ると「やはりこれは古い映像だね・・・」というような印象を持たれてしまいます。誰もが見てすぐわかるノイズやボケ部分などを徹底的に改善していくのにFORS EX PICTUREは大変有効だと思っています。また、既存のコンバーターで手が届かない部分を細かく改善し、作品を通して同じ効果、ルックにそろえることが可能なのも特徴だと思います。

具体的にどの様な効果がありますか?

岡田:映像S/Nと精彩感に対する改善が効果としては大きいですと思います。従来のアップコンバートの弱点であった画像の甘さやトレース線に出るジャギーなどを極力排除し、クリアでシャープな仕上がりにいたします。

特にどのような作品に適していますか?

岡田:キュー・テックはアニメーション作品を扱うことが多いので、アニメを得意としていますが、もちろん実写作品でも問題ありません。アニメは実写と比べると些細な差が判りやすいので、特に効果的に感じるのだと思います。先程も申しましたが、インターレースであっても古いコンポジット作品であっても素材を選ばないので、どんなジャンルにも適しています。使用用途もパッケージソフト・TV放送などを問いません。さらに、4Kへのアップコンバートに関しても、同じような手法をベースに検証を進めています。

FORS EX PICTUREマイスターたちのこだわりを聞かせてください。

岡田:持てる人材と機材をフル稼働させて、お客様のニーズに応えつつ”自分だったらこういう映像が見たい””こういう映像を見せたい”というイメージを創りながら作業を進めています。例えば輝度に対して色の解像度がもともと低い映像の場合、そのまま大きくしたらズレ幅も大きくなってベタっとしてしまうケースではそれが認識できなくなるまでに改善するために、機材+エンジニアの手でひじょうに細かいところまでも調整していきます。FORS EX PICTUREマイスターひとり一人が長年培った経験をもとに、日々、より良い感動画質への追求を行っているのですます。

●岡田 和憲
1993年キュー・テック入社。編集部に在籍。
アニメーション作品のビデオ編集の実績多数。

麻倉怜士のEpilogue

ブランディングで高画質・高音質を謳うことは比較的よくみられるケースですが、キュー・テックの「FORS」で特に印象的なのは、「最新の機材や環境を提供しつつも、それを動かしているのは匠(マイスター)の技術だ」というところです。
プロセスだけではなくプロフェッショナルの手が入るところに、キュー・テックの「人の価値」がとても強く出ていますね。
どのように人が関わってきて、どのように手を加えていくのかという部分はなかなか他のブランドでは見えてきませんが、FORSは、機材としての音や映像のクオリティを上げるというインフラとそれをどう使いこなすのかという「人」のシナジーを強く感じました。
コンテンツを創るのも人間、創ったものを見るのも人間です。
人が創ったものを最適な状況で人が見て、感動するという、「人」と「機材」と「使いこなし」が三位一体となったのがFORSです。そこが私が大きな期待を寄せている所以です。
ユーザーは、一つのパッケージにいかにさまざまな価値が凝縮しているかにロマンを感じています。もともとのコンテンツの良さもそうですが、加えていかに豊かな映像・豊かな音を提供できるかの付加価値部分を追求しているのがFORSだと思いました。
今後いろいろな分野・メディアにFORSが採用されることを期待したいです。それはユーザーの幸福につながりますからね。