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マイスター「匠」が創る高画質・高音質ブランド「FORS」(フォルス)

Chapter-2  FORS EX SOUND

FORS EX SOUNDについて教えてください。

中林:FORSというのはマスターの品質をそのままパッケージに収録するという理念で生まれたもので、厳格な信号管理のもと、高画質・高音質・高品位にマスタリングされたディスクを作成する技術です。
オリジナルのFORSは認証機材・プロセスで作成されていたため、通常の作業行程より時間を必要としました。今回はお客様のご要望に合った形で高音質ディスクをご提案できるよう、FORSプロセスの作業工程を一から見直し、工程改善と新たな技術検証による開発を進めた結果、通常の作業スケジュールに対応出来る高音質エンコード・オーサリングを実現しました。この工程で作成されたディスクの音声をFORS EX SOUNDと言います。

従来のFORSとの違いを教えてください。

中林:従来のFORSは、映像・音声専用のハードディスクを用いた専用ラインを設置して、スタジオおよびプレス工場での作業を行っていました。今回、音声専用のハードディスクの開発等、専用機材や工程の改善をしたことにより、通常工程と同様のスケジュールで、FORS技術によるカッティング用データ作成が可能となりました。音の処理を簡略化しているのではなく、音声のFORS工程を再構築したものが、FORS EX SOUNDなのです。FORS EX SOUNDはFORSの理念を100%継承し、より柔軟に音質に対するご要望にお応えできる画期的な技術と自負しています。

具体的にどのようなプロセスを踏んでいるのですか

中林:FORS EX SOUNDでは、オリジナルFORSと同様に、当社が開発したFORS SOUND PROCESSORを通してデジタル音声波形をマスター同様に正しく整形します。 映像・音声の基準同期信号に関しても、業界標準のクリスタルレベルから音楽スタジオ等で用いられているルビジュームレベルに変更し、クロック精度を飛躍的に向上させました。使用機材に関してもマイスターによるテストを行い、社内の厳格な基準を満たした、高音質のデジタルオーディオ機器で処理を行っています。ハードディスクドライブについても、アルミブロックと御影石のハイブリット制震筐体と、オーディオ用高品位トランスを用いた大型電源回路を内蔵したFORSマスタードライブを自社開発し、データを格納しています。また、電源部と電源ケーブルにも自社開発の専用機材を使用してノイズを徹底的に除去したクリアな環境で作業を行います。すなわち、音楽専用スタジオと同等の設備なのです。これにて音声データのロスを最小限に抑え、エンコードまでこの処理を行います。

FORS EX SOUNDでは、アップサンプリングですが、他のアップサンプリングとの違いを教えてください。

中林:FORSのアップサンプリングは、データの中身を変えるのではなく、クロックレベルを倍の精度にすることで対応します。サンプリング周波数を倍にすると、各工程の精度も倍になりますので、最終的に仕上がった際のレンジ感がマスタークォリティにきわめて接近します。また、最終のD/Aコンバートでは、48KHzの場合は急峻なフィルターがかかり高域にノイズ成分が含まれるのですが、それを96KHzのD/Aコンバート処理にすることでノイズ成分の発生を抑えるという効果もあります。つまりマスターの情報を保持し、プレーヤーやアンプの最終出力段においても品質を保証するということですね。マスターの音質を変化させるような信号処理は一切行わず、作業工程ごとに発生するオリジナル信号との差異を、熟練したマイスターによる「耳」で検知し調整することがFORS EX SOUND並びにFORSの特徴なのです。

特にどのような作品に適していますか?

中林:マスターそのままのクオリティを保持するので、ジャンルや作品を選ばないのがFORS最大の特徴です。セリフを明確に聞かせたい、効果音に包囲感を持たせたい、音声情報を漏らさず聞かせたいなど、さまざまなご要望に応えることができます。ほかにも定位をはっきり聞かせたい作品などに効果があります。

FORS EX SOUNDマイスターとしてのこだわりを聞かせてください。

中林:音声のマスタリングは、プロデューサーと一緒にユーザーに好まれる音を作るという考え方が一般的だと思うのですが、私たちパッケージ製作に関わっている者にとっては、マスター完成後の工程に対して、いかに忠実なパッケージソフトを作り上げるかがたいへん重要なことです。敢えて自分の好みの音ではなく、常にフラットな状況でマスターの状態を判断し、オリジナルの音質に近づけることが我々FORS EX SOUNDマイスターの使命であると心がけています。

●中林 圭一
レーザーディスクのマスタリング・エンジニアを経て1989年キュー・テックへ転籍
現在、デジタルメディア制作部 マスタリング、エンコード部門を統括マネージメント。